子どもたちの誕生日パーティーなのに、なんとも不思議な光景だった。おもちゃは歩道に放置され、カップケーキは手つかずのまま。にぎやかな金切り声が公園中に響き渡るどころか、葉を揺らすそよ風が聞こえるほど静まり返っていたのだ。いったい何がおこっているのだろう?
網が張り巡らされたテントの中、子どもたちは、ダーリーン・ルー=マクダウェルさんの姿に目が釘付けになっていた。「準備はいい?」と彼女は子どもたちに尋ね、箱を開ける前にじっとポーズをとる。箱からモナーク・バタフライ(オオカバマダラ)の群れが飛び出し、オレンジ、 ゴールド、ブラックにキラキラと輝きながらテント内を飛び回ると、子どもたちは興奮し大喜びした。蝶はテントの内張りや、子どもたちの小さな鼻、肩、頭の上にも止まった。ルー=マクダウェルさんは慎重に、この繊細な生き物を指先で捕まえて止まり木に移す方法や、小さな棒で砂糖水を与える方法をやってみせる。子どもたちは、その光景に驚き、笑いながら、自分たちもやってみたくてたまらない。
蝶との出会いによる喜びと驚きについて、「まるで願い事が弾けたみたいでしょう?」と、ルー=マクダウェルさんは言う。彼女が営む「シェアリング・ザ・バタフライ・エクスペリエンス(蝶体験の共有)」は、あらゆる年齢層の人々に、思い出に残るマジカルな出会いを提供している。
マカキロにある彼女の庭に花粉を媒介する虫をさらに呼び寄せたいという単純な願いから、このビジネスはスタートした。一株のトウワタの木から始めたルー=マクダウェルさんは、その後本格的な蝶への情熱を育んできた。法律事務所を経営する日々の合間を縫って、青虫や蝶に餌をやり、庭の手入れをし、イベントの準備をする。夫のリチャードさんは、フェア、お祭り、誕生日パーティー、結婚式などで青虫のテーブルを担当している。
マカキロにある彼女の庭に花粉を媒介する虫をさらに呼び寄せたいという単純な願いから、このビジネスはスタートした。一株のトウワタの木から始めたルー=マクダウェルさんは、その後本格的な蝶への情熱を育んできた。法律事務所を経営する日々の合間を縫って、青虫や蝶に餌をやり、庭の手入れをし、イベントの準備をする。夫のリチャードさんは、フェア、お祭り、誕生日パーティー、結婚式などで青虫のテーブルを担当している。
人々は蝶との体験をずっと覚えているものです
ダーリーン・ルー=マクダウェル、蝶飼育家
何千ものモナーク・バタフライを育ててきたルー=マクダウェルさんは、すっかり蝶の専門家になった。モナーク・バタフライにとって最大の脅威はブルブル(ヒヨドリ)であること、モナーク・バタフライの青虫はもっぱらトウワタを食べていることなどを知った。もし蝶の羽が地面に落ちているのを見つけたとしたら、それはおそらく鳥が空中から蝶をさらっていったのだろう、と説明する。
蝶が生態系に果たす重要な役割も見逃せない。「蝶はどこに放されても、その場所に留まり、そこで繁殖していく傾向があります」と、 ルー=マクダウェルさんは説明する。「花粉を媒介する虫ですから、 それによりその地域の植物にとって大きな助けとなるのです」
また、ルー=マクダウェルさんは蝶と触れ合うことによるセラピー効果にも言及する。「青虫を触ったことのない大人も本当にたくさんいます。庭の手入れをしたり、青虫を集めたり、蝶を放したりすることは、精神衛生上とてもよいのですよ」。成長した蝶になる直前のさなぎを飼育する「さなぎ箱」は、自身で蝶を育てる喜びと満足感が体験できる人気の商品だ。