遠い地からの花

ハワイの高地では、沖縄の桜が島のコミュニティをつなげる象徴として咲き誇る。

文:
ローレン・マクナリー
モデル:
ジョン・フック
訳:
南のえみ

戦後のワヒアワではパイナップル産業が衰退した。「パインの町」と呼ばれたこの地の住民たちは、温暖で穏やかな雨に恵まれたこの町の気候に合う、新たな誇りとなる存在として桜を思い描いた。現在ワヒアワのあちこちで春の訪れを告げるはかなげな桜の多くは、1950年代に沖縄から持ち込まれた1本の苗木に由来する。その苗木は、仲宗根長老から友人の寺尾太助へと贈られたもので、寺尾はそれを増やしてワヒアワのコミュニティに桜の美しさを広めていった。

1985年、当時の沖縄県知事の西銘順治とハワイ州知事のジョージ·アリヨシが、両島の結びつきを示す姉妹州提携を宣言した。これを記念してワヒアワではさらなる沖縄の桜の植樹が行われ、オアフ島中央部の町を「ハワイの桜の町」に変えていく計画の一環とされた。現在、このハワイと沖縄を結ぶ象徴は、ワヒアワだけでなくハワイ諸島の各地に広がっている。重なり合う枝に咲く可憐な花々が空を覆い、訪れる人々を魅了し続けている。

過去20年間、ワヒアワ日系市民協会は毎年春になると、町中に咲く500本以上の桜を巡るトロリーツアーを開催してきた。

2025年3月、ハワイ桜基金、ホノルル日系人青年会議所、日本航空の関係者が、マノア渓谷にあるハワイ大学マノア校マグーン研究施設での桜の植樹式に集まった。